不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.14

仕事と住まい、コロナ後の新しい関係

2021.7.21

  • フリーランス&ライター

    井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。

コロナによって働き方にも大きな変化が現れています。新幹線通勤といった言葉も耳にするようになってきました。住まい選びとも深い関係がある、「仕事」や「働き方」。その選択肢の変化を整理してみましょう。

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1)仕事の環境変化が住まいにも変化をもたらす

コロナ禍によって住まいへのニーズが変化

「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」という調査があります(2020年5月・リクルート住まいカンパニー調べ)。緊急事態宣言が発出され、多くの人が突然の在宅勤務、オンライン授業など、生活の変化を迫られた直後の2020年4月に行われた調査です。

調査には「今後の間取り変更・住み替え意向」を尋ねる項目があり、コロナ禍終息以降もテレワークを行う場合、24%が現在の家からの住み替えを希望していました。

住み替えたい住宅への希望には「部屋数の多い家」、「リビングを広く」、「通勤利便性より周辺環境重視」といった項目が上位に並んでいます。「家族の声などを気にせずにオンライン会議ができる家に住みたい…」という声が、聞こえてきそうな結果です。在宅時間が延び、家の狭さや部屋数の不足など、住まいへの不満が顕在化したことで、住み替えを考える人が増えたことがうかがえます。

今後もテレワークがさらに浸透する?

働き方の変化は一過性のものではく、この先もテレワークや在宅勤務がさらに拡大する兆しもあります。総務省が2021年6月に発表した調査によると、在宅勤務を導入する企業の割合は前年比で倍以上の47.5%に達したそうです(今後の導入予定も含む)。産業別にみると「情報通信業」では9割以上の企業がテレワークを導入するなど、業種によってはテレワークがスタンダードな働き方になる企業もあります。

通勤時間が必要なくなり、働く時間にも裁量範囲が広がる。テレワークのメリットを企業と従業員それぞれが認識できたのが、コロナ禍で得られた利点だと言えそうです。今後も在宅勤務やテレワークの流れはさらに進むことになりそうです。

今後の働き方のスタイルが明確になり始めると、住まい選びにも変化が表れるはず。都市への通勤を前提としなければ、住む場所の選択肢は大きく広がります。すでに、海や山の自然環境に恵まれた鎌倉や三浦半島、奥多摩や房総半島など首都圏の郊外エリアの人気も高まっています。さらには、一都三県以外の地域への移住という選択を検討する人も登場しています。