不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.11

シングル&DINKSの
マンション購入ポイント(2021年版)

2021.1.28

  • フリーランス&ライター

    井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。

2021年、新しい年が明けました。新型コロナウイルス感染防止対策が進められる一方、4月からの新年度に向けた各種の制度変更案が明らかになっています。その中には「住宅ローン控除の対象面積緩和」も盛り込まれています。

住宅ローン控除は、これまで床面積50㎡以上の住宅が対象であったものが、40㎡以上に緩和される案です。40㎡から50㎡程度の広めのワンルームや1LDKマンションは、シングルやDINKSに人気のタイプでもあります。
そこで今回は、シングル&DINKSが利用できそうな税制やマンション購入時のポイントなどをご紹介します。
※DINKS(ディンクス)とは、共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦、またその生活観のことをします。(Double Income No Kids(2収入、子供なし)の頭文字などを並べたもの。)

1)税制改正や支援制度に注目

住宅ローン控除の対象物件が40㎡以上に緩和

「住宅ローン控除」とは、年末のローン残高の1%相当分を所得税などから税額控除する制度です。住宅購入者を支援する仕組みとして長年にわたり継続されてきたもので、多くの人が利用している制度でもあります。ただし、利用するためにはいくつかの条件があり、主なものは下記の通りです。

●自ら居住すること
●床面積50㎡以上(登記簿面積)
●借入金の償還期間が10年以上
●合計所得金額が3000万円以下

ローン残高の上限は4000万円(長期優良住宅の場合は5000万円)です。2019年10月から2020年12月の間に入居した場合、期間は10年間とする事を基本的な制度としていました。しかし、消費税率の引き上げの際に控除期間が3年間延長されて13年間となっていました。そして、昨年のコロナ禍で入居が遅れるケースなどに対応し、2021年末までに入居する住宅が対象となっています。

2021年度の制度改正案では期間延長が継続されることに加え、床面積50㎡以上の条件が緩和され、40㎡〜50㎡の物件も「住宅ローン控除」の対象となる見込みです(新築住宅もしくは事業者が売主の中古物件で、合計所得金額が1000万円以下という条件が付加される見込み)。

40㎡〜50㎡という広さは、広めのワンルームや1LDK、2DKといったシングル&DINKS層に人気です。たとえば、5000万円・45㎡の1LDKマンションを、頭金1000万円、4000万円の住宅ローンを利用して購入する場合、新制度では最大で4000万円×1%=40万円(年間)の税金が控除されることになります。これが13年間継続されるとなれば税控除はかなりの金額になり、そのメリットは見逃せません。1000万円以下という所得制限を考えると、シングルの人向けに有効な制度となりそうです。

【ワンポイント】床面積は「登記簿面積」が基準! 広告表記に要注意

「住宅ローン控除」など税法上の判断基準となる床面積の数値には、「登記簿面積」が用いられます。これは壁の内側の面積を測定する内法(うちのり)計算です。一方、広告等で表示されている「専有面積」は壁の中心線を基準に面積を測定した「壁芯計算」です。その結果「登記簿面積」<「専有面積」となることに、注意が必要です。

内法と壁芯の違い

広告では40㎡を超えているので「住宅ローン控除」の対象になると思っていても、「登記簿面積」は40㎡未満というケースもありえます。40㎡、50㎡という対象条件をわずかに超える住戸を検討する際には「登記簿面積は何㎡か?住宅ローン控除の対象になるか?」という点を、販売担当者に確認するようにしましょう。