不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.04

晩婚カップルのマンション購入。
注意点を考察。

2016.12.

住宅ローンの組み方にミックスプランを活用する

住宅ローンの組み方には、リスクのある変動金利1本でローンを組むのではなく、固定金利と変動金利の商品を組み合わせるなど、2本立てのローンを組む方法もあります。

また、元金の割合も、借り入れ総額を半々でという形ではなく、1本は早めに完済できるようにするなど、その活用法もポイントになります。例えば、40歳の時に、35年固定金利で元金4,000万円を借りた場合、毎月11万3,474円の返済が必要となります。65歳で定年を迎えた後も、現役の時と同じ金額を支払い続けなくてはいけませんので、定年後の年金だけで返済し続けられるかが問題になってきます。

一方、ローンを2つに分け、片方は25年固定金利で元金2,500万円、もう片方を35年固定金利で元金1,500万円を借りた場合、65歳までは毎月13万5,980円の支払いが必要となります。しかし、定年を迎える65歳で25年固定金利のローンを完済できるため、定年後は残っている35年固定金利の毎月4万2,552円のみの返済となり、年金でも十分に返済可能な金額となります。また、総返済額にも差が出てきますので、返済能力を考慮してローンの組み合わせを選ぶとよいでしょう。

返済イメージ

<2>定年後の収支は?

年代を問わず、結婚直後のカップルにとって定年後の生活はなかなか想像しにくいものですが、いざマンションを購入した場合の、毎月の収支も気にしておく必要があります。

定年以降は収入のダウンが大きい

では、高齢者の収支はどの様になっているでしょうか。 総務省の家計調査(2015年 総務省「家計調査報告」)によれば、65歳以上の世帯平均収入は概ね年250万円で、夫婦の年金収入が主だったものになります。それに比べて支出は、年間300万円程度で、単純に収支計算をすると毎年50万円ほどが不足するということになります。つまり、それだけ定年後にはお金がかかるということを認識しておかなくてはなりません。

したがって、長期返済で、完済が75歳というような設定では、定年を迎えた65歳以降の毎月の返済は家計への負担が大きくなることが想像できます。そうなると、やはりローンの返済は65歳を目指すのがよいでしょう。

また、退職金をあてにした完済計画はできれば避けた方がよいでしょう。上記のように、定年後は支出が収入を上回る可能性があるので、できれば退職金は老後の生活資金に充てるようにしておきたいところです。

60歳時のローン残高をチェックしておこう

65歳までに無理なく返済できそうな場合でも、60歳くらいになったタイミングでローンがいくら残っているのか、確認をしておくようにしましょう。そして、もし繰り上げ返済をするなど前倒しで完済することができれば、定年後の返済を心配することなく、安心して生活をおくることができるでしょう。

<3>晩婚カップルに適したマンションとは?

晩婚カップルに向いているマンションはいったいどんなものでしょうか。購入の際には次の点を注意してみておくようにしましょう。

若い世代は住み替えを前提としたマンション購入もありえる

都内では賃貸住宅の賃料が高いため、結婚を機にマンションを購入しようという方も多いと思います。確かに月10万円も家賃を払うなら買った方がいいと考えるのも必然でしょう。夫婦二人で住むという想定で物件選びをすると、現在の家賃よりも負担が少なくて済む場合もあります。この時期は共働きも想定されるので、勤務先に近いマンションも選択できる可能性があります。仮に数年後に子どもが生まれた場合、新たな住処を探して住み替えをするという流れになります。

晩婚カップルは半永久的な住まい方を選ぶ方が多い

晩婚化が進んだ近年では、子どもを希望しない方も増えてきています。もし子どもがいたら、郊外の広いマンションを、ということになりますが、夫婦二人であれば、利便性の高い都心でコンパクトな間取りのマンションを購入するという選択肢もあるでしょう。

また、せっかく購入するのであれば、この先も半永久的に住み続けることができるマンションを購入したいという方もいるでしょう。その場合、耐久性の確認や長期修繕計画の有無といった建物自体の性能も十分に吟味する必要があります。 ライフスタイルの多様化により、結婚・出産・住居購入といったライフイベントの有無や時期は人それぞれ大きく異なるようになりました。今後の自分の人生を考え、上手に住宅ローンを利用して、理想の住まいを購入できるようにしたいものです。

文:寺岡 孝(住宅コンサルタント・住宅セカンドオピニオン)
2016年12月掲載

  • 住宅コンサルタント・住宅セカンドオピニオン

    寺岡 孝 てらおか たかし

1960年東京都渋谷区生まれ。大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。現在では人気サイト「専門家 プロファイル」や朝日新聞がおススメする東京の専門家サイト「マイベストプロ東京」また、マンション購入サイト「マンションってどうよ?」の登録専門家でもある。サポート・コンサルタント相談案件1,000件以上