不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.03

地震対策の第一歩、
マンションの耐震性能を知っておこう

2016.07.

<3>耐震の考え方について

耐震の考え方の原点となるものは、建築基準法の第一章第一条にあります。条文では「この法律は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定め、国民の生命、健康、及び財産の保護を図りもって公共の福祉の増進に資することを目的とする」としています。また、近年の建物の耐震に対する考え方は、「ごく稀に起きる大地震で倒壊させないこと」、「中小の地震に対しては建物の被害がない、もしくは軽微な被害にとどめること」とされ、建物の機能を保持し人命を守ることが前提とされています。

マンションの耐震性能について

マンションの耐震性については、「新耐震基準」の建物であれば、阪神大震災や東日本大震災で大きな損傷を受けた建物がほぼなかったことから、一定の安全性は認められました。したがって、「新耐震基準」であれば、関東大震災のような大地震でも人命を奪うような倒壊や崩壊の可能性は低く、震度5強程度の揺れならば、建物自体に大きな損傷を与えない耐震性があるといえるでしょう。
ただ、耐震構造の建物は倒壊に至らない程度に揺れることが前提になっているため、過去の地震の影響や損傷の有無など、建物をひと通り点検するなどの必要性はあるでしょう。
また、今後、必要に応じて耐震診断や耐震補強を検討する場合も出てくるかと思いますが、それぞれの自治体で助成金や補助金などの制度があるので確認してみることをお勧めします。

ここまで耐震基準の変遷や改正などを見てきましたが、地震対策の第一歩として、自分の住んでいるマンション、購入を検討しているマンションが、いつの基準で建設されたものなのか、またどんな構造・工法なのかを知っておくようにしましょう。それによって、家具や家電などの固定の必要性なども変わってきます。
また、耐震の建物によって地震の揺れから身を守った後で重要になってくるのが、生活の維持です。マンションによっては防災備蓄倉庫や防災備品を用意しているところもあります。避難場所の確認や防災コミュニティの形成など、ソフト面での対策も万全にしておきましょう。

文:寺岡 孝(住宅コンサルタント・住宅セカンドオピニオン)
2016年7月掲載

  • 住宅コンサルタント・住宅セカンドオピニオン

    寺岡 孝 てらおか たかし

1960年東京都渋谷区生まれ。大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。現在では人気サイト「専門家 プロファイル」や朝日新聞がおススメする東京の専門家サイト「マイベストプロ東京」また、マンション購入サイト「マンションってどうよ?」の登録専門家でもある。サポート・コンサルタント相談案件1,000件以上