不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.05

金利だけじゃない!
住宅ローン選びのポイントとは?

2017.03.16

<2>多様化が進む「疾病保障」、上乗せ金利には要注意!

七大疾病、八大疾病へと保障が拡大したローンも登場

最近では、金融機関ごとに疾病保障のバリーションがかなり多様化してきました。三大疾病特約をベースにして、疾病の種類を加えた「七大疾病特約」、「八大疾病特約」、さらには生活習慣病を保障するタイプも登場しています。各金融機関のホームページを確認すれば、それぞれに特徴を打ち出そうと競っていることがわかります。

ちなみに「七大疾病」は、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病に、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変を加えたもの。八大疾病は、さらに慢性膵炎を加えたものです。

保険適用の条件を緩和したり、一時金を支払うローンも

保障対象の疾病を増やすだけではなく、保険金支払いの条件を変えている商品もあります。先に紹介したように、急性心筋梗塞や脳卒中は「60日以上」という日数の条件を設けていましたが、「治療が目的の入院」を保険適用の条件とするローンも登場しました。

また、夫婦2人が連帯債務者として住宅ローンを利用した場合、いずれかが「がん」と診断された場合でも、住宅ローン残債はゼロとするローンも登場しています。さらに、保障の一部として一定の期間働けない状態が続いた場合に「一時金」を支給する商品もあります。

つまり、疾病保障特約は、金融機関ごとにバリエーションが存在すると言っても過言ではありません。その場合に、気になるのは保障特約をつけるためのコストです。

疾病保障を付加するためには0.2~0.4%の金利上乗せが一般的

こうした疾病保障を充実させた住宅ローンは、0.2%~0.4%程度の金利上乗せが必要となるケースがほとんどです。前述したフラット35の「機構団信」の三大疾病特約は0.3%相当の金利上乗せがされた金額と同じです。つまり、保障を受けるためには、それなりのコストも覚悟しておく必要があるということです。

0.2~0.4%といえば、それほど大きくはないと思うかもしれませんが、10年固定型の金利が0.5%程度で利用できる「超低金利時代」だからこそ、0.2~0.4%の負担は大きな影響を与えるものなのです。

加入している医療保険を良く確認して吟味しょう

住宅購入を検討している人は、すでに「生命保険」や「医療保険」に加入しているケースが多いと思います。新たなコストをかけて、すでに加入している保障と重複する保障を受ける必要はありませんので、どちらかにまとめることも考えてみましょう。

また、住宅ローンに付加される疾病保障と生命保険会社が扱う専用の医療保険との違いも理解しておきましょう。住宅ローンの疾病保障は、疾病を患ったときに住宅ローンの返済を助けてくれるという安心は得られますが、医療費や一時金などは当初から考慮されていません。

専用の医療保険は、疾病の診断を受けた際には医療費の保障や保険一時金が支払われるという保障内容が多いので、高額治療や生活の備えを考えるのであれば、こちらを優先しておくほうが、メリットが大きくなりそうです。

まずは現在の保険と保障内容を確認して、疾病保障特約との比較をしましょう。判断が難しくて迷う時には、ファイナンシャルプランナーなどが相談に応じてくれる窓口を金融機関が用意していることが多いので、相談してみてください。

<3>ポイントや割引還元のある住宅ローンも

一方で、金利や保険料といった部分ではなく、まったく違った発想で差別化をはかる住宅ローンもあります。

たとえば、傘下に金融機関を持つ大手小売グループ企業では、日々のお買い物を割引するサービスを付加した住宅ローンを扱っています。また、ポイントサービスを全国展開する企業との提携により、独自のサービスを打ち出す金融機関もあります。

探してみると、多種多様なサービスを付加した住宅ローンがありますので、検討してみるのもよいかもしれません。

住宅ローン選びで迷ったときは、プロに相談してみましょう

住宅ローンの返済は、万が一のリスクに備えつつも出来るだけ無駄な出費は抑えておきたいものですね。今回説明したもの以外にも「繰り上げ返済の手数料」や「最長の借入期間」など、諸条件は各金融機関によって様々です。

検討の項目が多岐に及ぶ住宅ローン。たくさんの商品があって比較が難しいとき、迷ったときには「餅は餅屋」という言葉を思い出してください。その道のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談をしてみるのも、ひとつの方法だと思います。

文:井村 幸治(フリーランスエディター&ライター)
2017年3月掲載

  • フリーランス&ライター

    井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。