不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.06

ファミリー世帯の、
将来を考えた街選びのポイント

2018.07.26

<3>将来も様々な世代を惹きつける魅力がある街か?

ずっと住み続けたいと思える、多様性を持つ街を選びたい

では、どんな街なら長く住み続けられるのでしょうか?前段で述べたように、古くから住宅地として開発された街で、新陳代謝が少なく特徴の少ない画一的な性格をもつ街は活力を失っていく可能性があります。一方で、古い街であっても成熟したコミュニティや文化などを活かしつつ新たな変化も迎え入れる、新旧織り交ぜた多様性と変化に富む街なら、人々を惹きつけ耀き続ける可能性が高いでしょう。

例えば、東急田園都市線の「たまプラーザ」といった街を中心として考えてみるとわかりやすいかもしれません。「たまプラーザ」も、もともとは東急電鉄による「多摩田園都市計画」によって開発された街で、東京近郊の多くのニュータウンと同じく、昭和40年代に開発がすすめられた街です。しかし、「たまプラーザ」は現在でも人気の高い街として、多くの世代から関心を集めています。これは、街を開発して終わりではなく、近年になっても駅やその周辺の開発によって多様性が増し続け、時代が変わっても、人々を惹きつけ続けているからにほかなりません。

たまプラーザ駅

たまプラーザ駅

単なるベッドタウンの拠点駅という役割ではなく、文化や芸術、ファッションやグルメといった刺激を受けることができる街。様々な世代の人々がそれぞれに魅力を感じ住みたいと思えるような街。今だけでなく将来にわたりその魅力を維持する、さらに耀きを増す街。そんな多様性を持った街を選ぶことが、街選びの条件として重要性を増すことになりそうです。

多様性を持つ街であれば「エリア内」での住み替えも可能

こうした街であれば、将来は拠点駅を最寄りとする「エリア内」で住み替えるという選択肢も広がります。

ずっと住み続けたいと思える街を見つけられたなら、駅から徒歩5~10分圏内といった狭い範囲ではなく、子育て環境を重視して駅から少し離れたエリアや都心から離れたエリアであっても「育住近接」が実現できるような場所に、環境重視でマンションを選ぶ。そして子どもが独立したときには駅にも近く、生活の利便性にも富む住まいへと住み替えるという選択です。エリアの拠点となる街なら、その選択も可能になるでしょう。

文:井村 幸治(フリーランスエディター&ライター)
2018年7月掲載

  • フリーランス&ライター

    井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。