不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.12

マンションvs一戸建て
コストを徹底比較

2021.2.25

3)マンションの維持管理・メンテナンス費用

管理費は約1.6万円、修繕積立金は約1.2万円が平均

新居で暮らし始めてから必要となる維持管理・メンテナンス費用に関しては、マンションには独自のコストが発生します。

●管理費・・・共用部分の清掃やエレベーターなどの設備の点検整備などに使用される費用。1戸当たりの月平均額は1万5,956円。マンションに規模によっても金額は違いますが、タワーマンションなど1棟に数百戸の住戸を要する大型物件の場合、エレベーターや共用施設も数多く必要となることから、管理費用も高額となるケースもあります。

●修繕積立金・・・大規模修繕工事のために積み立てられる管理組合が積み立てて管理していくお金。1戸当たりの月平均額は1万1243円(駐車場使用料などからの充当を除いた額)。大規模修繕は国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」のなかで「外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期が12年程度」とされていることから、12年前後で実施することが目安とされています。建物の規模や形状によっても工事費用は違ってきますが、大型のタワーマンションの場合は10億円を超える費用が必要となる場合もあります。積立金だけでは工事費用が不足するケースでは、区分所有者から「一時金」を徴収する場合もあります。

●駐車場・駐輪場代・・・クルマや自転車を利用する人のみに発生。お金は修繕積立金に充当される事も多くみられます。都心部のマンションでは1ヶ月数万円の駐車場使用料となることも珍しくないので、カーライフを楽しみたい人は事前に心づもりをしておきましょう。

マンションの場合、管理費と修繕積立金、駐車場料金を合わせると3万円〜5万円程度となるケースもあります。住宅ローンの返済以外に発生するコストなので、金額をしっかりと把握しておきましょう。

※平均値は「平成30年度マンション総合調査」より


居室内のリフォーム費用は別途必要になる

管理費や修繕積立金は、マンション全体に関わる部分、共用部分の維持・管理に使用されるお金です。エレベーターの修理点検や立体駐車場のメンテナンスなどはこのお金から賄われます。

一方、住戸内のキッチンやトイレ設備、ユニットバス、給湯器、壁紙やフローリングなどは所有者個人の判断で、リフォームや更新を行うことになります。給湯器や水回り設備は10年〜15年程度で老朽化し、故障も発生するようになります。リフォーム費用はキッチンが60万円〜90万円、浴室が80万円〜100万円が中心価格帯とされています。合わせると100万円〜200万円程度の費用が必要になるので、あらかじめ積み立てておくなど準備をしておくといいでしょう。また、給湯器のリース契約など、一時的な出費を抑える方法もあります。

4)一戸建ての維持管理・メンテナンス費用

管理費や積立金はないが、修繕費は必ず発生する

マンションのように管理費や修繕積立金が発生しない一戸建て住宅。駐車場費用も不要なことから、月々の維持管理&メンテナンス費用の面ではマンションよりも有利になります。

ただ、一戸建て住宅もメンテナンスや修繕費用は必要です。給湯器や水回り設備の更新など、マンションと共通する項目に加え、外壁や屋根の補修、雨漏りやシロアリ対策など一戸建て住宅独自の費用も発生します。

アットホーム株式会社が、木造の新築一戸建て住宅を購入して30年以上住んでいる人495人を対象とした「一戸建て修繕の実態」調査によると、平均築年数は35.8年で修繕費の総額は556万円という結果がでています。修繕した箇所とその時の築年数、費用の平均値は以下の通りです。

間取りイメージ

「一戸建て修繕の実態」調査 ※アットホーム調べ

外壁や屋根には100万円以上の修繕費用が発生

修繕を実施した箇所は実施割合が多い順に「外壁」「給湯器」「トイレ」「お風呂」「屋根」と続きます。「給湯器」や「トイレ」など内装設備の老朽化による更新は、マンションでも同じように必要となる費用ですが、「外壁」「屋根」「ベランダ・バルコニー」「シロアリ関連」「給水管」「床下」などはマンションでは発生しない、一戸建てならではの費用といえます。

マンションの場合、外壁や屋根、給排水管やバルコニーなどは「共用部分」となるので、個人ではなく管理組合が主導して行う「大規模修繕工事」の工事対象となる箇所です。

一戸建ての場合も修繕費用は必要になるものの、個人として費用を積み立てているケースは少なく、上記の調査によると「修繕費を積み立てていた」という人は9.9%にとどまります。逆に「修繕費用を毎月積み立てるべき」と考える人が53.5%と過半数を占め、普段からの備えが必要になることがうかがえます。