不動産経済コラム

不動産経済コラム

主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.13

マンションの資産価値を決める要因は?

2021.3.31

「立地の重要性」を裏付ける調査データもあります。

下の図は、築10年前後の中古マンションについて、そのリセールバリューについて調査・分析したものです(東京カンテイ プレスリリース/2019年 中古マンションのリセールバリュー(首都圏)より)。リセールバリューとは「価格維持率」という意味で、竣工から10年が経過した分譲マンション(サンプルは築後9~11年の物件)を、最寄り駅別に分け、中古流通価格と分譲当時の価格を比較して算出した指数です。算出には下記の計算式が使われており、100%を超えていれば、買ったときよりも10年後のほうが値段が高い、資産価値が上がっているエリアと判断できる数値です。

リセールバリュー(%)=中古流通時の価格 ÷ 新築分譲当時の価格 × 100

ちなみに駅別の上位では第1位「原宿」駅172.7%、 第2位「秋葉原」駅165.8%、 第3位「千駄ヶ谷」駅147.0%、以下「溜池山王」、「不動前」、「高輪台」、「半蔵門」、「東神奈川」、「飯田橋」、「麻布十番」と続きます。

2018年 首都圏リセールバリュー

この調査は2008年前後に分譲された物件を対象とした2019年時点での数値なので、コロナ禍を経た直近の状況には相対的に変化が生じている可能性もあります。ただ、都心部が大きく数値を下げているという実態はないので、「立地」の重要性は変わっていないと考えても良いでしょう。

駅からの徒歩分数は資産価値を大きく左右する

駅からの所要時間も資産価値に大きな影響を与えます。
これは3大都市圏の新築と中古マンションの坪単価を駅徒歩時間別に比較したものです(東京カンテイ プレスリリース/徒歩時間別 新築&中古マンション坪単価 2010年10月発表)。
新築分譲時の価格は市況や分譲会社の方針によっても左右されるため、相場との乖離が生じる可能性があります。しかし、中古物件になると需要と供給のバランスにより売買価格が決まるため、資産価値がより明確になります。

徒歩時間別 新築&中古マンション坪単価

グラフにあるように、中古マンションの場合は駅徒歩時間が長くなるにつれて、坪単価が下がっていく傾向が表れています。

エリア別にみても、近畿圏や中部圏の坪単価下落幅が緩やかなのに対して、首都圏では徒歩分数が遠くなるほど急激に坪単価が下がっていく傾向が見られます。これは早くから駅周辺の開発が進んだことで、駅周辺の土地面積が少なくなり、駅近物件の希少性がより顕著に表れていると考えることもできます。つまり、首都圏では駅に近い場所で新築マンションを供給できる土地は非常に少なく、希少性が高いということです。

この調査は約10年前のものなので、直近の傾向には変化が出ている可能性もあります。駅周辺の開発がさらに進み、駅近の新築マンションの希少性はさらに増している可能性があります。