不動産経済コラム

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主に「不動産」と「経済」の2つのテーマにフォーカスし、最新情報をわかりやすくお伝えします。

Vol.09

下落に転じた基準地価、
今後の動向は?

2020.10.29

神奈川県では住宅地が3年ぶりの下落に転じる

神奈川県全体の住宅地全体としては、横ばい又は下落したポイントが調査地点の 78.4%(前年 58.2%)となり、県全体の平均変動率も▲0.9%(前年 0.1%)と3年ぶりの下落となりました。

神奈川県の住宅地、地価変動

神奈川県の住宅地、地価変動

市町村別では7年連続で上昇していた横浜市が、一転して変動率▲0.4%(1.1%)と大きな下落幅となりました。南部の磯子区、金沢区、港南区は大きな下落となっています。地価上昇率の上位ポイントには高級住宅街として知られる中区山手通りの調査地点が4.0%の上昇を示したほか、桜木町駅周辺など都市部周辺や港北ニュータウンエリアなどがあげられています。一方で下落ポイントには、都心への通勤アクセスが劣る西部や南部地域で目立ちます。

相模原市では変動率が下落しましたが、地価上昇率の上位に緑区の橋本駅周辺が複数箇所あげられています。始発ターミナル駅としての利便性や、リニア中央新幹線の新駅設置への期待感が背景にはあるようです。

その他の市町では、三浦市、横須賀市と三浦半島エリアの下落幅が拡大しています。湘南や三浦半島エリアでは、テレワークを前提とした郊外居住エリアとして、一部の層からは注目を集めているケースもありますが、地価への反映には至っていません。

千葉県では6年ぶりの住宅地下落

千葉県全体の住宅地変動率は▲0.2%と、前年の0.3%から6年ぶりの下落となりました。

千葉県の住宅地、地価変動

千葉県の住宅地、地価変動

千葉市では全体の変動率が0.2%となりましたが、中央区、稲毛区、美浜区と上昇幅が縮小しました。また、その他3区は下落に転じています。

東京都に隣接・近接する松戸市、習志野市では上昇が続いているものの上昇幅が縮小し、特に浦安市は縮小の幅が大きくなっています。また、市川市、船橋市など上昇から下落に転じた市もあります。都心へのアクセスが便利な千葉県北西部エリアは住宅地の値上がり基調が続いていましたが、やはりコロナウイルスの影響から逃れられない状況となっています。

また、東京湾アクアラインのアクセス利便性が評価され、地価上昇傾向が続いていた房総地域でも、君津市、袖ケ浦市は上昇幅が縮小しました。このほか、東京オリンピックのサーフィン競技会場となる予定の一宮町では1.9%と前年(2.6%上昇)に続き、上昇傾向にあります。

地価上昇率の上位ポイントには君津市中野5丁目が5.2%、袖ケ浦市袖ケ浦駅前1丁目が5.2%、君津市北子安6丁目が4.2%などと続きます。